誰も皆、手を振って、しばし別れる

うおおお、劇場版「GAMBA」めっさいいじゃないですか!! やー、よかったです。昔読んだ児童文学の感動をそのまま思い出しました。後ろのキッズたちが「良かったねぇ」って言ってて、なんかそれもよかった。色々ね、そりゃ全部突っ込んで欲しいですけど、でもこう上手に省いたと思います。登場人物、っていうか登場ネズミもねえ。正直バスとテノールとか、バレットにアナホリにジャンプにカリックなんか一芸職人ですからね。連続アニメでも省かれてたのに、さすがに劇場版じゃねえ。ナイスガイな我が友シジンはほしいですが、でもよく考えたら彼の出番原作でもVSノロイの一回くらいしかなかった気がする。イダテンはガンバがやってるし、オイボレはもういるし、ちょうどいいくらいですかね。微妙にボーボとマンプクは被ってたけど、まあデブはこういうのいい奴に描かれますから。それもOKです。ていうかボーボ……。彼だけですかね、別に死なんでええやんというか。原作では相当来る場面で、映画でもあのイカサマの慟哭には正直ぐっと来たんですが、でも潮路さんも生きてて、死んでから全然言及されないんだから別に死なんでも、と思うわけです。重傷くらいで、イカサマが意地でも引き摺っていく、くらいで良かったんじゃないかと。彼は切なかった。絡んでるのがイカサマなのがね。イカサマが原作でも超グッドキャラで、ガクシャとの煽り合いやなんでもサイコロで決める感じが大好きでした。映画ではそこんとこちょっと鳴りを潜めてたのが残念でしたかね。名前どおりイカサマやって皆を逃がすところとか、そこでガクシャに突っ込まれるところとか、あのボーボとの別れとか。でも90分ですからね。十分だと思います。ガンバも、もっとダルそうだったし、ヌスットとかゴウトウってつけられるくらいのワルだったわけですが、でもこの映像でこの内容だと、あの前向きで仲間思いな熱血漢がばっちり合ってる。で親友役のツッコミ担当のマンプクに、安定のヨイショ&ガクシャ先生。完璧です。そこに可愛いけど芯の強い潮路さん、ちょっと子どもすぎるけど真っ直ぐな忠太、そしてハネてる七郎にお前オバハンなのか青年なのかどっちだよな声の元祖ガンバなツブリさん……。やー、良かったです。
なんせスピード感が素晴らしかった。最初の街で猫に追われるところからおおってなったし、そこから海行って宴会してノロイ先生にびびって海に出て、あの「あれが海か! これも海か!」やってまた20分くらいですよ。いちいちアクションが冴えてるんだよな。馬車の疾走感とかね。それとイタチ。あれは怖いですよ。スピードがヤバい。そんなよく知らないけど、ガルパンの戦車なんかより全然はやいよ。これは無理やろって思いますもん。ネズミたちも、飢えの場面とかげっそりしてる感じとかなかったんですが、あのイタチの重量感と速度には「あ、これあかんわ」ってもうわかります。あれは勝てない。そんでノロイ先生の存在感もハンパない。あれは凄いですよ。あの丁寧な喋り方もヤバかったけど、アニメ版をダイジェストでしか知らない身としては、ツブリが来てタコられてからの再度の暴れっぷりにはもう肝が冷えました。ウソやろって呟いた。つーかツブリ二度も首根っこ掴まれてたのによく無事だったな。しかし一人きりで死闘を演じ、最後の最後までガンバを殺そうとしてたあの姿は、ラスボスに相応しい風格だったと思います。アルペジオのムサシとか多分瞬殺だと思うな。あれはあかんわ。よくみんな無事だった。まあボーボはあれでしたけどね。言及されてないけど。そこは悲しい部分です。
でもほんと、胸が熱くなってどきどきして最後爽やかになれる、良映画だと思います。EDも、最初はなんでオザケン、しかもなんで歌ってるの倍賞さくらさんやねんて思いましたけど、ムービーと含めてああええやんかって感じられます。ほんとよかった。たった90分でこんだけ魅せてくれたら、もう何も言うことはないです。こういうアニメ映画が増えて欲しいですね。宇宙ショーへようこそとか、ヨヨとネネとか、そういう子どもに自信もって薦められる映画でした。好!!