種の鼓動は愛

ガンダムSEEDが好きです。
だけど本編は面白くない。
これが僕の偽らざる本音であります。

だってSEEDのアニメってほら、あれだったじゃないですか。同じ場面が結構使いまわされるし、ニコルが毎週死んでるし、登場人物が言ってることとかやってることがよくわからなくなってくるし、トールも割と死ぬようになってくるし、主人公が当面の敵を華々しく倒した回のタイトル「悪夢」だし。ってまあ挙げた点は割とどうでもいい感じなんですが、やっぱりこう、アニメのSEEDは面白くなかったと思います。
とはいえ、普段アニメ見ない人でもSEEDは見てたって方も割といて、そういう方は大抵面白かったって感想が多かった気もします。キラがかっこよかったとか、ラクス可愛かったとか。僕は全然そう思わなかったし、ていうかキラにはなんかさん付けしないと不自然な感じになってたので、まあそれはそれでどうかなのですが、まあでも、普通に見たらやっぱりそうなってくるのかなとも思います。キラさんわけわかんなかったけどね。ラクスはもっとわかんなかった。どっちかといえばラクスのわけわかんなこと聞いて登場人物がはってなるのがわかんなかった。わかってたら楽しかったんだろうなってのはわかってたんですけどね。ていうかアニメの感想でこんなにわかるわからないって書くのもあんまりない気がするな。
とか言いたいことはいっぱいあったんですが、なんかこう、嫌いにはなれない部分があったと思います。言い方悪いですけど、ボケた方が数分だけ自意識を取り戻すみたいな感じで、SEEDも一瞬だけ面白い場面はそれなりにあったなーとかね。やめてよねとか。これは違うか。ミリアリアディアッカのアレとか。これも違うな。ステラが崖から落ちるところとか。これも違うな……。なんかありましたっけ。ないような気もしてきた。まあでも、カラオケで出てくる映像とか見てるとぐっとくる場面もあるので、あるにはあったと思います。シン君がアスラン相手にイキってブン殴られるところとか。あれこれも違うな……。

というわけで、20年ぶりのSEEDの新作、しかも劇場版ということで、一切の期待はしていませんでした。そもそもアニメの出来があれすぎたので、もう既に自分なりのSEEDを作ってしまっていたわけですよ。みんなそうだったからね。小説もいくつか出てる漫画も外伝も、本編があれすぎたから逆にみんな頑張っていいものを作ってたからね。僕にとってのシン君は今初音島に住んでいて、隣には白河ことりがいるのです。それで決着をつけたのです。今更続編と言われてもね。もうSEEDの主人公はアニメダカーポの世界に馴染んでいるのです。ことりと純一とさくらと色々ありながらもそれなりにやっているのです。やめよう。もう観ないでおこう。そう思っていたんですが、日々の映画鑑賞の中で予告編が流れてると、やっぱり観たくなってくるわけですよ。相変わらずラクスの服装よくわかんないな。シン君明らかにかませやろな。正直ムウのツラはもう見たくないな……。等々、やはり年寄りよろしく昔を思い出してしまうわけですよ。SEEDで盛り上がった日々をね。あれ盛り上がったってたっけ。なんか毎週愚痴ばっかり言ってた気もする。最終回があれで、クリスマスに放送された新規カット付きの特別エディションがもうあれのそれのこれで、酒がぶ飲みして泥酔してふて寝したことはよく覚えてるんだけどな。まあいいか。まあともあれそんなこんなで、やっぱり初日に観てきたわけですよ。

初めての感情でした。アニメのSEEDが面白い。
なんで!? SEEDが面白い!
1500円のポップコーンセット買っちゃうくらい面白い!!

いや、良かったです劇場版。思い入れの部分もあると思いますが、多分5、6回は声出てし、ガッツポーズもしましたね。こう来るかと。令和になってSEEDをこう料理するかとね。いや、見事でした。
多分、真面目にSEEDを見てた方は真逆の感想なんだと思います。真面目にこう、戦争はよくないなとか、差別はいけないことだとか、人は自分らしく生きるのがいいんだとか、SEED見てキラさんとかラクスの言うことに真面目に頷いてた方はね。この劇場版はおいおいどうしちゃったんだよってなるんじゃないでしょうか。序盤でも、多分敵だろうなってゴージャスな感じの方々が、もう歯が浮くどころじゃなくて抜けてスポーンて飛んでいくんじゃないかってくらいのキッザキザなセリフを出しまくってたんですが、本編ではあんまりそういうのなかったですものね。あったっけ。覚えてないや。まあはまらない方も多いのでしょう。でも僕はそうじゃなかったので、相当OKです。あのキザセリフも一興です。逆にラクスがまともなこと言ってるように……、は残念ながら見えなかったけど。でも彼女、あのダンスのときのドレスはどうだったんでしょうか。死ぬほどダサい、というか幼稚園児の落書きみたいな変なドレスだったと思うのですが、みんなあれは大丈夫だったんだろうか。忍者服がまともに見えるレベルです。あと揚げ物のシーン。ラクスさん揚げすぎじゃない? キラさんめっちゃ食べるやん。定食屋のミックスカツ定食超えてるんじゃないかな。でも二十歳くらいならあんなもんかな……。でも揚げてるとき、キッチンに小麦粉とかおいてなかったんだよな。あれ冷凍のやつそのまま揚げてるんですかね。いやでもラクス様が冷凍食品使うのか? 衣つけてめっちゃ掃除してから揚げてるのかな。どうだろう。あと部屋の階段、寝ぼけてたらつるっと落ちちゃいそうで怖かったです。コーディネーターは寝ぼけたりしないのかな。いや本筋じゃないのでその辺はいいんですけども。まあでも、そんな感じでキラさんとラクスの生活感は見えました。本編では全然なかったもんね。特にデスティニーでキラさんメシ食べてたっけ。いや劇場版でも食べてはなかったんだけどね。まあそれはいいんだけども。
シン君。いいじゃないですか。かませになるのはわかってましたが、こちらの想像より早い段階でかませになってくれたので、もうなんか、わかっちゃいますよね。ああそれこうなる前振りだよねって、逆に楽しかったです。終盤やってくれたしね。ていうかほんとにアスランのこと嫌いなんやね、シン君。あと中盤、ちょっとルナマリアにおいたをする場面があるんですが、あれは僕の中のシン君とはちょっとずれます。ていうか正直、初めの方はあれですね。僕はシン君のことを一日中考える時期が多少あったので、このスクリーンのシン君はなんで俺の想像通りに動かないんだろうってまあまあ本気で首をかしげてましたからね。あの画面のあいつ誰だよと。まあシン君本人なんですが。しかも公式。でも僕のシン君は別にいますからね。初音島でことりにうまいことよしよしされた彼はああいうことはしないと信じています。劇場版よかったですが、やっぱりシン君の隣にいるのは白河ことり嬢だとあらためて確信できました。次点で鴇羽舞衣。まあその辺はいいんだけど。ステラもよかったですね。ヨウランもヴィーノも、新三馬鹿も全然出なかったので、アーサー副艦長でたの嬉しかったけど、でも出オチだったからその時間彼らにわけてやってほしいなとじりじりしていたのですが、まさかステラがああいう出方するとは思いませんでした。そうくるか。そう来ますかと。あはぁみたいな声出た。もう会いに来る必要ないね、いつでも会えるんだもんね……。いやそんな感動的な場面では全くなかったんですが、しかしオッケーです。オッケーなのです。
改めて書きながら思うのですが、やっぱりSEEDは真面目じゃない方がよかったですね。真面目だからわけわかんないんだよな。劇場版くらいやってくれたらね。まあラクスの言うことは相変わらずちんぷんかんぷんなんですが、でもいいんですよ。愛なんです。愛だからいいんです。僕はそういうの好きです。必殺技か武器の名前を叫びながら、テーマ曲背中に敵に突撃してドカーンで勝利ってのが大好きなんです。そのノリでいいんです。これでいい。これがいい。その意味で僕は、20年たってはじめてキラさんとラクスを応援しました。ていうかあのフリーダムドッキングのズギューンでちょっとガッツポーズ出たね。ええやんラクス。ええやんフリーダム。感動しました。ラストもよかったと思います。全裸でね。いい全裸じゃないですかね。いっぱい揚げ物食べてほしいですね。彼らなら完食できると思います。そこに愛があるならばね。劇場版SEEDは愛。愛でした。真実の愛にたどり着くことができて、僕は満足です。
とりあえずは以上です。