羊のうた

 を、胃の痛みと地獄少女のOP曲を聴いた勢いで一気に読破したわけです。一人暮らし始めてから一度も読んでなかったし。そういや吸血鬼ものだったなあ、などと思いながら、気付けば三時間ほど過ぎてました。連載時は高校生で、全巻揃ってからはあまり通読する機会はなかったので、今読んでみて新たな発見が多かったです。特にイティハーサポーの一族(はちょっと違いますけども)などの「絵で魅せる」漫画と出会ってたおかげか、人物(なんかキャラって言いづらい)を言葉よりも表情で捉えられるようになってたのが大きいですね。一コマ一コマ、計算したわけじゃないでしょうけど、凄く自然、と書くとちょっと妙ですが、そんな感じに感情や情景が流れてる。冬目景の絵の良さが、特に千砂に抜群に発揮されてる気がします。見る、見つめる、見据える、見入る、眺める、あたりの差を全部表現できてる。ネギまの直後だったんで妙にくっきりと入ってきました。言葉がなくても構わない。4巻あたりはほんと凄い。八重樫さんのすべてを否定する千砂、夜の布団での一砂と千砂の邂逅、5巻またいでの吸血描写などの、芯で一貫してるけど表層でぐらぐらしてる千砂の様子と、背後の景色と構図のバランスが醸し出すただならない雰囲気で、読んでるこっちは本当にくらくらと来ました。あれは酔います、ほんとに。千砂にヘタレ一砂がブン回されてるのも納得いくかな。水無瀬の諦観(というか一時の気の迷いにも似た熱情を人生かけて守るという生き方に対する誇りと自嘲の混合かな)と、八重樫さんの女性特有(と言い切るのもアレですが)の一途さ+独占欲なども、むしろ言葉よりは表情で感じられるのが素敵です。7巻の首を押さえてる八重樫さんとかヤバい。ヤバさで言えば46話ラストにかなうものはないわけですが、あれが見事すぎてラストが微妙に感じられるのも仕方がないといえば仕方がない。一砂のために数時間千砂が命を持たせた、ってのは妄想のし過ぎかもなと思いますけどね。妄想させられるんだよなあ、絵に。まあ八重樫さんも1巻からキャラ変わってるしいいか。1巻のただの変な人テイストも好きです。
 読んだ直後だから長くなったなー。夜あたりに顔真っ赤にして消してる自分も想像できますが、まあそれはそれでしゃーない。CDドラマ欲しいなーと思って検索かけて、そういや千砂は林原で一砂は関智だったなと再認識。聞いたことないけどどうなんだろう。木ノ下→鈴村健一と合わせて気になります。そういえば長沢美樹はどこへ行ったんだろう。実写版は見ないほうがよさそうだ。
 しっかし、やっぱり高校の頃から自分も変化してるなーと再認識しました。いつまで思春期やってるつもりだ自分。とりあえずはモラトリアムのせい、ってことにしておきますけども。