舞HiME 運命の系統樹

 いやー結構面白かったですこれ。単に妥協点が下がっただけかもしれませんが、ゼノ3、スクライドと最近は当たりをよく引いてます。というわけでネタバレ満載で失礼。
 このゲーム、どちらかといえばアニメを知らない人がプレイした方が楽しめるのかもしれません。アニメの方が今回集まったキャラに焦点が当てられていたのに対し、ゲームの方は陽巫女(卑弥呼)の時代から連綿と続く儀式そのものを中心に描いているので、結構儀式そのものが重要な鍵になるわけで。それが解かれていく過程が結構ワクワクしますし、アニメで色々知ってるとちょっとだれますねー。あと日本古代史との絡め方が好み。つーか天岩戸=皆既日食ってのはどの辺まで公式に認められた説なんだろう。俺が高校の時には触れられもしなかのですが、今でもそうなんだろうか。何はともあれ、その辺を強引に持ってくるのが素敵。つーかあの一番地の描かれ方、マジで右翼の怖い人たちから狙われたりしないんだろうか。危ないよ! まあでも、成り代わったのが6世紀じゃなくて9世紀と説明されていたので、イメージ多分そっちじゃなくて藤原の方なんだろうなあ。ギリギリだぜ。ナギとかいるけど。あと、やっぱ想い人がナチュラルに死ぬのがシビアでナイス。キラキラ消えられたら復活しそうで嫌だもんね。そんで主人公は基本的にウザい奴です。やっぱカズマさんみたいなのはあんまりいないよなあ。
 5つのメインルートは、ファッキン妹(人の話を聞かないのですかァー!)→なつき(君の瞳はクレイジービッチ)→命(「戦闘をやめてください」ズギューン)→舞衣(世界の中心でカグヅチを叫ぶ)→深優(アンドロイドはアリッサ・シアーズの夢を見るか)の順でいきました。括弧の中が一言感想。案外どんな順番で行っても結局はあまり変わらないのがグッドです。戦闘パートとかは飛ばしたかったけどねー。さすがに4回も5回も同じことやるのはしんどいです。それと音楽がいい。印象深い、いい意味で舞HiMEらしい曲が随所に流れてたし、あのエンディング曲がナイスでした。侮りがたし美郷あき
 実はファッキン妹が好感触。つっても口癖とか声とかはかなりキツかったんで、ほとんど強制スルーでしたけど、話の流れそのものはなかなかよかった。純な子が主人公のヘタレのせいで疑心暗鬼になってSATSUGAIしまくりとかいい感じです。ラストもいい、というかこの日本だと、ほぼ積極的に人殺しに加担した場合ってこのくらいしか救済策ないだろうしなあ。人の話聞かないクレイジーシスターの駄目さが光る一品でした。
 なつき編がよかった。一番素敵でしたね。母親と親友の非業の死を乗り越えての決着。なつきがいいキャラしてました。カッコいいよあいつ。あとやっぱ静留さんナイス。いい死に様だったと思います。静留さんで一番ナイスなシーンは、舞衣編の海での主人公リンチだったと信じているわけですけども。あのシステムでなつきへの愛を貫くのってこのくらいしかないからなあ。自分に殉じられる人だった、というのが悲劇ってのも寂しいですが。少なくとも主人公よりは光ってた。主人公も5つのルートの中で一番熱かったんだけどね。ラストがなかなかのハッピーエンドですっきりしました。読者側としては、キャラの大切な人の死が辛いんじゃなくて、大切な人の死からキャラが立ち直れないのが辛いわけですから。あーあとキャラがハッピーエンドのために捻じ曲げられるのも鬱ですね。デス種とかさ。物事に犠牲はつきものだよ。そういえば、年齢的にも立場的にも主人公にはなつきよりもむつみさんの方が似合っているように思います。公衆の面前in学校で生徒とキスってどうなのよ。
 命編は、まあねえ。命株はいい感じに上昇したんですけど、主人公がねえ。何も考えずにただ「戦闘はやめろ」って叫ばれても困るなーと。それしか言ってない割りに、結局具体策はすべての場合において見つけられなかったわけだし。静留さんをそれで動揺させて敗北させた割に、自分が巻き込まれたら即戦ってるし。キラさんくらいひでえ。命がストレートに、自分の優先順位の一番上を突っ走るキャラなので、余計に主人公さっさと死ねよボケと思えてしまうのが厳しい部分でした。ほんと、命は自分の大事なものをひたすら見続けてるだけなのにな。主人公の説得がまるでアスランに見えました。カズマさんがいればなあシット。まあでも、その命の視野の狭さってのは、やはり多くの悲劇を生んでいるわけで、その意味で、やっぱバッドエンド(だよね)くらいのとこがいい落としどころじゃないかなーと思います。クレイジーシスターの方がああいう報い受けてるわけで、まあそのために2つ用意したんでしょうけども。そんなわけでバッドの方が好きです。命は好きだぜよ。いちご大福はそうでもないけど。
 結局、さんざん邪道だと主人公になじられていたこの儀式に、きっちりケリをつけたのはこのルートだけな舞衣編。巧海が泣かせるんだよこれ。典型的なんだけどズルいぜ。最期の海のとことか、もうあれ形式美なわけですよ。ほら感動しろよと耳元で叫ばれてて、くそっしゃーないぜ感動だァみたいな。ズルい。舞衣と主人公の戦わないぜ路線は結構ウザいんですけど、でもラスト舞衣の、戦いを終わらせるためだったら命くらい投げ出してやるぜ的な根性が大好きです。正統派RPG主人公だよあれ。やっぱ舞衣はいいよなー。ラストはあんなもんでしょう、というかこれも様式美。舞衣編は基本的に王道だったので、安心して眺められましたねー。つーか舞衣萌えだしね俺アッハハ。
 深優編はどうもなあ。わざわざシアーズ編を作った理由がまったく見えないあたりどうなんだろう。ただ深優とラブラブさせたかったってだけじゃどうにもなあ。アンドロイドの感情が云々なんてのむ古臭いし。主人公の守る戦いをするべきだって主張もファッキン。というわけで一番乗れなかったのがこれです。宮村優子声が可愛いってくらいしかいいとこないんじゃないだろうか。今更アンドロイドと人間の交流云々なんて言われてもなー。ラストも余韻が壊された感じでどうにもこうにも。すべてにおいて俺の好みを微妙に外してたルートでした。
 ていうか、巷で言われてるような鬱成分はあまり感じませんでした。一番鬱になったのおまけシナリオの奈緒くらいかなあ。あれは効くよ。敗北率100%の事実よりも効くよ。おまけはその他も凪には素でグっときたし、存在感作品NO.1の静留さんも切なかった。この二人はちょっとズルいよ。
 なんかえらいダラダラと長くなってしまったのですが、つまりはそんな感じということで。つーかダラダラ書きすぎだよほんと。次はマブラブオルタ行きます。舞HiMEでは、スクライドの直後だったからかもしれませんけど主人公が非常にウザかったので、その点で満足させてほしいところですが、はてさて。