ジエッジ雑感

 今月はちょっと今いちだったかな、というかまあ、あのあたりはしょうがないかという感じでしょうか。議長が急に変になって妙にAA側の正義が強調されるところだからなあ。やはりアスランが脱走してからは、原作がアレですから、どんなにフォローしようとしても微妙になってしまうようです。先月のミーアとかほんと頑張ってたんだけどな。最期まで整形前の写真をもってるクソ演出を切ったのは英断だったと思います。ミーアがアスランラクスに最後まで執着し続けてたのも、僕にとってはリアルでいい感じでした。普通、地味でハブられ気味だった頃の自分と、アイドルの替え玉としてでも、大勢の人間に必要とされ愛された自分なら、たいていの場合で後者に愛着あるよなと思うのです。その後のアスランのモノローグも、こう狙っているのかいないのかはわかんないですけど、アスランは結局ミーアのことわかってやれなかったんだなーというか、自分の正義以外は見えてないんだな、とそれが逆にアスランぽくて好感と言いますか。戦争を終わらせるためならなんでもやる、と(アスランを撃ったことで確定的に)決意したシン君に対して「お前がオーブを撃ってはいけない」とズレた言葉を投げる彼らしくていいかなと。やっぱアスランて本来は視野の狭い、不器用な男だなと思います。プラス誰よりも平和を望んでいたAAが撃たれるのは間違ってる、と考えるぐらいお花畑な人間。それが正義描写されるから歪むわけで。でまあ、さすがのジエッジも、アスランの正義描写が表に出てきたらそりゃ微妙にもなるわな、みたいな感じでしょうか。うーんでも原作ほどバランス崩壊はしてないわけですし、やっぱこのあたりで納得するしかないのかな。ラクスとキラはいい悪役になれたと思うんだけどなあ。もったいない。
 というか実はコミック買ってたりします、ジエッジ。かなり好きです。実は漫画舞HiMEの作者くらい絵が上手くなってるんじゃないでしょうか。はじめは能面みたいな表情が多かったのが、いい感じに気迫溢れた顔を描いてくれるようになりました。絵に迫力欲しいよなーやっぱ。あと、チクチクといいところで修正が入ってるとこもナイスです。ハイネとか。ハイネとアスランが酒飲んでるシーンとか大好きだなあ。シン君とコニールの「見直したか?」「うん、ありがとう!」のとこもラヴィ。白眉は3巻おまけのシンとステラのランデブーでしょうか。またいい笑顔してんだよステラ。あんまり比べるのもアレですが、例えばポーの一族のメリーベルの笑顔なんかは、あーこの子のためなら人生狂ってもいいわ、とナチュラルに思えてしまう代物ですが、あのステラの笑顔もそれに匹敵するものがあったと思います。あれはシン君しょうがない。で、そこからステラ返還のとこがいいんですよ。艦長とかのもうステラ殺しとこうぜ的な会話聞いて、また衰弱するステラに何もしてやれず苦悩するシン君。誰か助けて、とシン君が思う病室の前を、アスランが通り過ぎる。このシーンがやばい。そのときのアスランはキラのことで頭一杯だったわけで、助けを求めるシン君のことなど気付かないわけです。それをもう、ほんとに頼むから振り向いてくれよ、と叫ぶようなシン君の表情が素晴らしい。あの4つのコマでちまき(作者ね)の評価がぎゅんと上がりました。切ねえよマジで。もうほんとキラが余計なことしてなかったらシット! で、そこからシン君の「俺がどんなことをしてもこの戦争を終わらせる」に繋がるわけです。これ本編でやってたらなあ。もうちょっとシン君のファンが増えたと思うんですけど、まあでも無理か。もうこれ読んだら、シン君の「だったらもっとしっかりしてくださいよ!」が切ないったら。アスランひたすら見当違いのこと考えてるし。まあ一番切ないのは、そのシン君とアスランのすれ違いが、その後まったく意味を成さなかったということですけども。アスランがシン君ブチのめして終わりじゃほんと救われないよ。ハイネの死とかも。ほんと惜しい奴を亡くしたなと思います。彼の死も、後半に生かされなかっただけに悲しさが増してしまいます。
 ジエッジはキラもきっちり描いてますね。自分たちの周りが一番大事で、それ以外はあんまり気にならない、という正確をキッチリと表現できてる。良い意味でも悪い意味でも。いい感じです。だからこそシン君とのぶつかり合いが映えるわけで、ほんとファッキンアニメはなにやってんだグロテスク。いいラストバトルになっただろうに、ちくせう。やっぱ一方的な正義描写はエウレカでもなんでも厳しいです。ちまきもある程度それを分かってる感じなんですけど、うーん本筋を変えるわけにはいかないんだろうな。つーかジエッジのラクスは普通に宗教家みたいでちょっと笑えます。あれはカルトだろ。
 ジエッジはいい漫画だと思います。頑張ってる。最終回も期待してます。4巻書き下ろしでようやくメイリンを普通に評価できるようになったし。最終回はレイでやってほしいな。ほんと一言でいいんですよ。議長がレイをアスランに託して「頼むよ。自慢の息子なんだ」とか言ったら俺素で泣きますよ。アスランが引っ張っていっても良い。あの意味もなくミネルバ側が懺悔してる小説版でさえ、シン君とルナマリアばインパルスに乗ってメサイアにレイを助けに行く、というめっさ熱いシーンが挿入されていたわけです。頼むぜジエッジ。俺に5巻を自信を持って買わせてくれ。
 とか。やっぱりデス種のことになると熱くなりすぎる不思議。