シロガネぇぇぇぇ!!!

 こんなに書き出しで迷う感想も珍しい。終わって5時間ぐらいしかたってないので、それはそうだと言えばそうなのですが。でも、やっぱり強烈なものを食らったな、と思います。冷静になってみれば、途中でかったるくなったシーンはありますし、不要だな、と感じる箇所も多かったわけですけれど。クライマックスの、音と文章にほとんどもってかれる感触、熱量は、しばらく引きそうにないです。銀が正体を明かすシーンから震えっぱなしでした。その前の、かなこと邂逅した初音が蜘蛛の形を解くシーンでは、陳腐な書き方ですが胸が詰まって、3分ぐらいディスプレイから目を逸らしました。Fateのセイバーのときは「見届けなければ」という妙な使命感を持ったものですが、またそれとは違うしんどさがありました。「架空の話、人物だから」と割り切ることは、やっぱり僕にはできそうにないです。
 かなこと和弘と初音の、4つの選択肢。プレイヤーとしては、この部分に「ままならなさ」を強く覚えました。4つのどれを選んだところで、かなこは(かなこを愛しつつある初音も、その意味で)もう引き返せない。ここは「人間を選ぶか、人間以外を選ぶか」という選択ではなくて、「人間以外を選んだ」ことを再確認させるための作業です。結論は既に出ている。咎がなくても、かなこは自分をはじめて受け入れてくれた初音を、ここで切り捨てることは出来ない。かなこが初音に「救われる」以前に和弘と出会えていたら。初音とかなこが、もう少しずるければ。ままならない、やるせない思いが、とても切なかったです。
 エロゲーの文章の上手さとかそういうの、今まであんまり意識してなかったんですけど。これは意識せざるをえない。なるほど、こういうのが上手いというものなんだな、と実感しました。引き込まれる。特に終章以降は、もう見事というしかありません。美麗に、緻密に。音楽とCGと、素晴らしい調和具合だったと思います。参った。



 ……と。長々と、今纏まっている部分だけを書き連ねてしまいました。「和弘に入れ込むなんて、百合好きの恥だぜ。まだ腐女子への道は遠いな……」とかそういう照れ隠しを書くつもりだったんですけどね。やっぱりこういうのには弱いです。MOON.とも違うんですけど。
 いいゲームでした。また、沙耶との比較とか書くかもしれません。アトラク=ナクア。いい仕事してます。