『フラグメンツ』山本直樹 ★★★★☆

 
 たまたま寄った古本屋でやっていた100円セール。いつか買おうと思っていた、にざかなの『BBJOKER』や大越孝太郎の『天国に結ぶ恋』を見つけてラッキーでした。しかし。何故か山本直樹が一冊もなかった、ということで今回はこれを。

 個人的に、山本直樹で一番好きなのは『学校』です。『Blue』も捨てがたいですが、やはりこの掴み所のなさはいい。結局大切なところが終わってる、いつも通りさが一番切れてると思うし。
 でも、やはり一番読まれているのはこの『フラグメンツ』でしょう。全3巻の短編。表題作は、3巻になると影も形もない。
 山本直樹は、いつも事件の後を描きます。大切なことは終わってて、その後を淡々と。文化祭がきっかけで付き合いだした男女が、その3ヵ月後に別れる。そういう話があるならば、彼は間違いなくその最後のセックスを描くでしょう。
その意味で『フラグメンツ』は極まっている。だらだらとした日常の中で、突然見つける昔の面影。燃え上がった炎を簡単に消せるほど、多分人の心は単純ではないのでしょう。

 ただ問題なのは、山本直樹のエロがハード過ぎるってこと。まあハードじゃないとつまらないのですが(きわめてかもしだはちょっと……)、やはりそこが、榎本ナリコの万人受けの差ですかね。アナルなんて日常茶飯事だもんなあ。まあなんにせよお勧めです。たとえ話はつまらなくても、夜のオカズにはなれます。



 エロ本と普通の漫画をはっきり区別してる人は、ほんともったいないよなあ……。