『蟲師』 漆原由紀 ★★★★☆

 昨日4巻が発売された講談社蟲師』 人間と蟲とのかかわりを、主人公であるギンコを視点に語るストーリー。
 僕がこの漫画の何が好きかと言えば、やはりそれは物悲しさです。蟲は時には優しい姿で、時には激しい音で人間たちの前に現れます。しかしそれは決して人間とは交わらない。いつでも人間が蟲にかかわるのは、夢と現の境界線上なのです。
 人は夢と現で揺れ動きます。人間との繋がりを信じて人として生きるか、それらをすべて捨てて夢で暮らすことを選ぶか……。どちらとも手に入れたくて、しかしかなわない。そんな風に葛藤する人を、蟲はただ見つめ続けています。それが、切ない。
 僕が購読している『アフタヌーン』有力株。確実に買って損はしませんが、あの濃い短編を五本一気読みはさすがに辛いかもしれません。買う場合は新品を。読む場合は寝室で。