通天閣がみてる (マリみて関西版)

注1 関西人の関西人によるお遊びです。怒ったり石を投げたりしないでください。
注2 「これ違う!!」という箇所にはツッコミを、各人方言でどうぞ。
注3 関西風のイントネーション補正を脳内で。
注4 阪神タイガース最高
注5 相沢は神戸生活が長いので、かなり神戸弁入ってます。あしからず。



「どないでっか?」
「ボチボチやわ〜」
 さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
 大阪の地に集う乙女たちが、今日も天使のような商人の笑顔で門をくぐり抜けていく。
 スカートのブリーツは小銭が落ちる音を聞いたときみたいに乱さないように。白いセーラーカラーは阪神が勝ったときの万歳みたいに翻さないように。もちろん、信号を守るなどといった、わけの分からない生徒が存在していようはずも無い。
 通天閣の下に広がる新世界。特殊な時間が流れるこの地区で、幼稚舎から大学までの一環大阪教育が行われる園。


――――


「ちょう、待ちいや」
 とある月曜日。
 食いだおれ人形の先にある二股の分かれ道で、祐巳は背後から呼び止められた。
「あの、うちになんや用でっしゃろか?」
「呼び止めたんはうちで相手はあんた。間違いないで」
 間違いない言われても。いや、あんた間違っとうわ、と答えて逃げ出したくなる心境だった。
「ちょい持ってんか?」
 手にした鞄を祐巳に差し出すと、彼女はからになった両手を祐巳の首に回した。
「タイ曲がっとんで〜」
「はあ?」
 目を開けると、まだそこには顔があった。なんと彼女は祐巳のタイを直しているのだ。
「ちゃんとかっこはキッチリせんと。おてんとさまが空から見とんで」
 そう言って、その人は祐巳から鞄を取り戻すと、「ほなな」を残して先に校舎へと向かっていった。
(あれは……)
(こんなん、ないで……)


――


祐巳はん祐巳はん」
 放課後、掃除を終えて教室から出たところで、祐巳は声をかけられた。
「あ、蔦子はん。教室の掃除は済んだんか?」
「おおまあな。せやから行き違いならんように走って来たんや。祐巳はん、鞄持って掃除行ったみたいやったからな」
 鞄を持っていったほうが、帰るにしても部活に行くにしても便利なのだ。
「で、なんかうちに用なん?」
「ちょっと話がな」
「なんやの?」
 聞き返すと、「おお」と蔦子さんは頷いた。
「じゃあ祐巳はん。うちら部活あるから先帰るわ。ほな繁盛しいや〜」
「自分らもな〜」
 制服が緩やかに廊下を流れていく。
「うちが写真部なんは知っとうやんな?」
「ああ、そらな」
 蔦子は祐巳に向き直ると、唐突に言った。
「学園祭近いさかい、うち、朝早よから出てきて写真撮ったりしてんのやわ」
「蔦子はん。覗き見みたいなこと、やめたほうがええんとちゃうか?」
リリアン生いうこと生かさんでどないすんねんドアホ。うちはかわいらしもんがいっとう好きやさかいなあ」
「せやけどなあ」
「安心せえ。筋はちゃんと通しとう」


――


山百合会に、なんぞ用なん?」
 蔦子と祐巳は、バネ仕掛けのように振り返った。
「ああすんません。驚いてもた?」
志摩子はん。なんで……」
 祐巳が言いかけると、蔦子が「あほやなあ」と軽く頭をどついた。
志摩子はんは白薔薇のつぼみや(さかい)ねんから、ここおんの当たり前やん」
「あ、せやったせやった」
祐巳はんとうち、紅薔薇のつぼみに話あんねんけど。志摩子はん取り次いでくれへん?」
「ああ、せなんやったら入ったらええやん。祥子はんやったら2階おる思うし」
 志摩子は扉を開けて怖じ気づく二人に手招きした。

「こっちやで」
 先頭の志摩子に続いて扉の傍までやってくると、中から突然耳を劈くような声が聞こえてきた。
「なんでうちがそんなんせなあかんのですか!!」
 相当大きな声だった。
「横暴やわ!! 姉さんらのアホ!!」
 会議に出はってそんなん、普通言えへんで。祐巳がそう思っていると、「よかった、祥子はんいはるみたいや」と志摩子がドアノブに手をかけた。
「なんやて?」
「つうことは(ちゅうことは)、今の声祥子はんなん……?」
 と、その瞬間。
「わかったわ!! そんなん言うんやったら、ここに連れてくればええんやろ!! 今すぐ連れてくるから待っとけやアホンダラ!!(注、関西でこの程度の暴言は基本)」
 という威勢のいい捨て台詞とともに、一人の生徒が勢いよく部屋から弾き出されてきた。
「はあっ!?」
「なんやっ!?」
 そしてそれは、祐巳の体を狙ったように直撃した。
「大事ないか?」
 志摩子と蔦子の声が聞こえる。
「あいたたたたた……」
 つぶやきながら、上に被さっていた人物が身を起こした。
「おお、ずいぶん派手に転んだもんやなあ」
「うわ、祥子に押しつぶされたんか? そら大変や」
「おい被害者、生きとうか?」
 部屋の中から、騒ぎに気づいた生徒がゾロゾロと出てきた。
「あ、うちが潰してもたんか。あんた平気?」
 やっと状況を把握した祥子は、慌てて祐巳を抱き起こそうとする。


 ……すみません限界です。ぽーさんは9K書けとかほざいてましたが、無理。今たぶん5Kぐらいですが無理。ていうか関西弁じゃなくてこれじゃ神戸弁だよこんちくしょう。そしてPC、突然朝鮮語入力になるんじゃねえ!!(その復旧に体力を使い果たした模様)
 ダイジェスト的に。
「なら、あんた祐巳はんをつなぎにする気やったん? そんなん、認めるわけにはいきまへんえ? あんさんの姉であるうちの品位まで疑われてまうさかいになあ」
祐巳のことはずっと面倒みたる。うちが教育して、立派にさせたる。それやったら問題ないんとちゃうか」
「祥子はん。口からでまかせ言うんは、そろそろやめにしとき?」
「思いつきとちゃう!!」
「あんた、祐巳はんとは会ったばっかりやろ? いつ、そんな約束する余裕があったんや?」
「ほんまはさっきまで、祐巳はんの名前も知らんかったんやろ?」
「それは……」
「もうええやん。つまらん意地はんのやめえや」



 みたいな紅薔薇さまと祥子の京都VS大阪やってみたかったのですが。まあ、これは次、もちろん明日の正午締め切りで風吹さんかぽーさんにやってもらいましょう。ええ。逃げたら分かっとうやろなあ?

「(なんじゃこの学び屋は。ドタマカチ割れてまう……)」
 と、バッドボーイズ風の広島出身乃梨子を考えながら、今日は締めさせていただきます。絶対志摩子さん自身は熱狂的阪神ファンなのに、家が広島ファンなのがいいと思います。
 ていうか異常に疲れた……。